大好きなチョコレートにつながる人々がみんな笑顔であるために。
  • 起業家田口 愛さん
1998年、岡山市生まれ。18歳まで岡山(1年間は父の仕事でポーランド)、大学進学で東京へ。19歳でガーナを初訪問、「カカオ農家の課題を解決し、みんなが笑顔になれるチョコレートを作る!」と決意。2020年、Mpraeso(エンプレーソ)合同会社を設立。クラウドファンディングで資金を調達し現地チョコレート工場を建設中(今年8月完成予定)。21年、チョコレートブランドMAAHA(マーハ)を立ち上げる。東京都在住。
 「22歳の女性のチョコレート革命」と耳目を集める起業家。中学生のとき、大好きなチョコレートの先にある「産地の過酷な労働」を知ってショックを受けた。単身ガーナに渡り、カカオ農家の意識を変え、彼らの生活向上につながるカカオ豆の生産と流通に向けて起業。ガーナ政府との難しい交渉もこなす。その原動力は「チョコレートでつながる人がみんな笑顔でいられるように、自分ができることをやる」というシンプルな誓いだ。これまでマラリアに4回罹患(りかん)した。日本円にして200円の薬代が払えなければ、死んでしまう現実。ガーナの課題を深く感じて活動に結びつけたいと、現地では同じものを食べ、同じように暮らす。
 「正義」を声高に叫ばない。いつもにこにこ笑って、大好きな「ガーナ」と「カカオ」の物語を「チョコレート」を通してやわらかく伝える。自分の「好き」に恐れずまっすぐに向かう姿勢は、尊敬する父の生き方に学んだ。岡山の実家は周囲に野山が近く、虫を追いかけて遊んだ。毎日の食卓には近くの農家が作った野菜が並んだ。生産者の顔が見えるチョコレート革命は、自分にとってごく当たり前の姿なのだ。
 自社ブランドのラインアップを増やして臨んだ今年のバレンタイン催事。昨年の4倍を売り上げた。「世界中のブランドが集まるデパート催事では、なかなか思いまでは伝えにくいんですが、岡山のお客様は、チョコレートやガーナの話に関心を持つ方が多く、“応援してるよ”の言葉もたくさんかけてくださる。コミュニティーの温かさがとてもありがたかった」と目を細める。
 念願の現地チョコレート工場は今年8月に完成予定。カカオ農家の生活と教育の向上につながるように、100%メード・イン・ガーナのおいしいチョコレートを世界中に輸出したい。「みなさんを巻き込んでこの活動を進めることで、地球の反対側にあるガーナという国と人々へ思いをはせてもらえたら」。MAAHAのチョコレートは、思いを同じくする人たちの愛と勇気の結晶だ。
ガーナ農家と協力しカカオ豆の品質を
上げる取り組みも
AI TAGUCHI
岡山たからもん
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