吉備高原（東西約170キロ、南北約45キロ）の地盤について、専門家や研究者らの調査で「日本有数の強固さ」が報告されている。最近では、岡山大学大学院教育学研究科の宇野康司教授（古地磁気学）らのグループが「地殻変動の影響をほとんど受けず、約1億1千万年前から一枚岩のような安定した状態が続いてきた」と結論付けた。

　2021年3月に発売された『首都岡山』（有限会社風企画）。著者は玉野市出身で神戸市在住の高嶋哲夫さん。阪神淡路大震災での被災体験を機に、日本は過去に、地震、津波、台風、火山噴火など多くの自然災害を経験していることを知り、災害に関する作品を多数発表してきた。2010年に出版された『首都感染』は、コロナ禍のもとロングセラーとなっている。
　『首都岡山』は小説ではない。2014年に出版された『首都崩壊』で首都移転先に設定した吉備高原について、さまざまな見地から解説した。
　歴史は繰り返す。首都直下型地震と南海トラフ地震の発生の可能性が100%に近いことは、疑う余地がない。「私の本を読んで命が助かる人が一人でも増えるとすごくうれしい」と作品に込めた思いを口にする。「自分の故郷だからではなく、遷都に最も適した場所として客観的に述べることで、岡山の活用の仕方を考えてもらうきっかけになれば」とも言う。

　セルフうどん発祥の店として知られる「手打ちうどん名玄」（岡山市中区平井）。創業当時、うどん屋としては後発で、「1杯100円」のインパクトに勝機を賭けた。限られた資金と人でこなすには、お客の手を借りるしかない。苦肉の策で生まれたのが「セルフ方式」。子ども連れを中心に面白がる人が多く、客数は日ごとに増えた。てんぷらやごはんものをセットにしたのも同店が初。今や年間30万人近くが訪れる。45年がたった今も、良質の水や国産小麦100%の麺など、味と安心の追求に余念がない。