清心女子大と
JA岡山のコラボ米
晴々ロマン
米離れが進む若い世代がターゲット。
22年春に発売された「晴々(はればれ)ロマン」は、米離れが進む若い世代をターゲットに考案された新商品。岡山市農業協同組合(JA岡山)と包括的連携協定を結んだノートルダム清心女子大学(NDSU)の学生チームが、「未来の米食育プロジェクト」の一環として、企画から製造、販売の各過程に主体的にかかわり、世の中に送り出した。
「私たちの固定観念を打破するような発想や企画力を期待して依頼しました」と、JA岡山営農部米穀課の齋藤樹哉さんは振り返る。
コンセプトは「冷めてもおいしい」。
学生チームは米の基礎知識を得るため、生産、製造、販売の関係者にヒアリング。「岡山県南部で生産量が多いアケボノを中心としたブレンド精米」というJAの条件を踏まえ、食味テストや粘度・硬さなどをチェック。好ましいブレンド比率を検討して、色や香り、触感などについてディスカッションを重ねた。家庭で食べるあらゆるパターンを想定し、炊飯器の種類や炊飯コース、保温状態の違いを問わない「おいしさ」を追求。便利な無洗米を基準に、弁当づくりに使ってもらえるよう「冷めてもおいしい」というコンセプトを固めた。
長く愛される商品に育てたい。
取り組んで1年半。ユニークな商品名も、レトロポップ調のパッケージデザインも、学生チームが考案した。学生チームを見守った人間生活学部食品栄養学科の小山洋子准教授は「自分たちの思いだけで作るのではなく、製造側と消費者の両方の視点が必要なこと。製造にかかる設備やコスト、販売方法など多方面に考慮しなければならない難しさなど、学生にとって大学の中だけでは得られない大きな学びがありました」と手ごたえを語る。
「先輩の想いを引き継ぎ、長く愛される商品に育てたい」と話すのは、2年目の晴々ロマンを担当する4年生の永江悠さん(22歳)、西絢佳さん(22歳)。特長をアピールするため、今年度はレシピの開発やSNSの発信に力を入れた。発売当初2カ所だった販路は半年後に約30カ所に拡大。女性層を中心にファンが広がりつつある。思いのこもったバトンはこの春、後輩たちに託される。