倉敷市真備町箭田
真備連絡会 一般社団法人お互いさま・まびラボ
多様性のまちづくり目指す
倉敷市真備町地区で2002年から精神障害者の自立支援に取り組んでいるNPO法人「岡山マインドこころ」代表の多田伸志さん。15年から同地区の福祉・医療機関など約20団体が参加する任意の会「真備地区関係機関・事業所等連絡会」(真備連絡会)を設立し、障害者、高齢者、児童など各分野に携わる関係者たちが、垣根を越えて話し合える場をつくっていた。そんな矢先に起きた豪雨災害。多田さんら真備連絡会は「みなし仮設住宅にバラバラになった高齢者や障害者の元へ走らねば」と結束。彼らの「移動支援」をしようと18年11月「お互いさまセンター・まび」(真備町箭田)を立ち上げた。翌年には運営を行う一般社団法人「お互いさま・まびラボ」も設立した。
同センターではスタッフ5人が軽自動車3台で病院や買い物の送迎を実施。さらに家具の移動や掃除・ごみ捨てといった「生活支援」も行い、その際は「岡山マインドこころ」の作業所に集う精神障害を持つ人たちも支援側となって汗を流した。「移動支援」は22年4月末の終了までに5798件、「生活支援」は827件に上る。さらに真備連絡会は、水害で命を落とした51人のうち42人が要配慮者だったことを教訓に「要配慮者マイタイムライン」の作成・普及にも協力。高齢者や障害者が安心して逃げられる避難場所づくりにも取り組んだ。
多田さんは「災害を経験して、精神障害のある人を含め多くの人が助け合い、町がだんだんたおやかになっている。今後もさまざまな人を受け入れる、本物のダイバーシティ(多様性)のまちづくりをしたい」と話している。
「お互いさま・まびラボ」が西日本豪雨後の活動を記録した冊子