倉敷市真備町尾崎

NPO法人そーる

物資配布から地域交流の場へ発展

 倉敷市真備町にある「そーる訪問看護ステーション」前では、毎月第2日曜に地域サロン「エンリッチカフェ」が開かれ、大人や子どものにぎやかな声が響く。地元のコーヒーやお菓子、キムチ、焼き鳥などが並び、傍らでは専門家による健康相談や体操も行われている。運営するのは訪問看護などを手がけるNPO法人そーる。住み慣れた地域でその人らしく在宅での療養生活が送れるよう支援することを理念とし、「ホームホスピス」開設を目指して2016年に設立した団体だ。
 代表の片岡奈津子さんは、豪雨災害時に事業所と自宅が全壊。それでも「高齢者の命を守るため」すぐに事業を再開し、町内に支援物資を並べたトレーラーを設置して、物資が届きにくい在宅避難者のために、毎週日曜に配布会を始めた。会はやがて地域住民の交流の場に発展。災害時、訪問看護ステーションを利用している独居高齢者の1人を地元自警団に助けてもらい「災害時には地域のつながりが重要」と実感していたことから、18年に「エンリッチカフェ」を誕生させた。カフェは被災した人の心を癒やし、地域コミュニティーの再生に貢献。近所に住む国土交通省の事務所長も訪れるなど、だれもがフラットにつながれる場となった。
 現在は月に1度、 “おいしいもの”を食べながら多世代が交流する。飲食店の起業を目指す出店者も多く、チャレンジの場にもなっているという。片岡さんは「カフェは20年続けるのが目標。その時々に合わせて形態を変化させ、楽しく続けることが復興につながる」とさらなる意欲を燃やしている。

被災した翌月、トレーラーの前で開いた夏祭り

岡山たからもん
お問い合わせ
山陽新聞社営業局広告本部 岡山市北区柳町2-1-1
電話086−803−8013 受付時間 平日10時~17時