身長175cm、靴のサイズ26.5㎝。「大きいこと」はずっとコンプレックスだった。背中を丸めた痩せっぽち。規格外の身体が悪目立ちする岡山を早く出たくて、高校卒業後は東京へ。27歳で結婚。2人の息子に恵まれ、幸せな専業主婦生活。でもー。他人の人生を生きているような感覚がつきまとった。私は何をしたいのだろう。産後太りで13号サイズの服しか着られなくなった身体にも、もやもやは募った。
　36歳でウオーキング教室と出合う。ヒールでさっそうと歩く講師にあこがれ、のめりこんだ。姿勢が良くなり、体が引き締まって服は2サイズダウン。友達から「私にも教えて」と頼まれ、自分の講座を始めた。女性たちが自信を取り戻す姿が評判を呼び、生徒数はうなぎのぼり。みずから考案した「ポスチャーウオーキング」は、人を幸せにする。そう確信して書いた本がヒットし、マスコミに取り上げられると、世界的なシューズメーカーに請われて契約、欧米への出張指導など世界が一気に広がった。
　コンプレックスの塊だった自分の身体が今は最大の強み。受講生には「自分を愛してあげて」と呼びかける。2019年から大学院に進み、このメソッドの科学的実証実験中。さまざまなデータから既に「体の動きを大きくして、通常歩行では活動しにくい筋を積極的に使う、エクササイズ・ウオーク」との分析が出ている。
　6年ほど前から母校のノートルダム清心学園で教える。窮屈だった故郷は、懐かしさや感謝を抱く場所に。備前焼、ままかり、地元の名店。「理由はないけど、とにかく好き」。21年にアメリカ人と再婚。「ポスチャーウオーキング」の海外展開に燃えている。