冷たく見えるけど、実はあったかい?

「助け合い精神」は「岡山たからもん」「助け合い精神」は「岡山たからもん」

「岡山の人は冷たい? 温かい?」―そう問われたら、あなたはなんと答えるだろう。
温暖で豊かで自然災害がほとんどなく、日常生活で助け合う場面が少ないことから、「よそよそしい」「冷たい」といわれてきた岡山県人気質。
他方、「民生委員制度」「孤児院」「点字ブロック」発祥の地である事実は、助け合い精神を証明しているともいえる。
果たして本質は? 西日本豪雨の被害をきっかけに生まれた「災害支援ネットワークおかやま」の活動に、岡山県人の内面を探ってみた。
情報を共有し、「自分ができること」で補い合う有機的組織「災害支援ネットワークおかやま」

NPO法人

岡山NPOセンター

代表理事

石原達也さん

何かしたい一心で集まった人たち

 西日本豪雨が岡山を襲った2018年7月6日から3日目の夜。「災害支援ネットワークおかやま」第1回会議には100人以上がつめかけた。社会福祉関係の組織・団体だけでなく、民間の企業や団体、有志のグループ、個人…。支援活動は今回が初めてという人もたくさんいた。
 発起人の石原達也さん(NPO法人岡山NPOセンター代表理事)は「避難状況」と「必要な支援」に関する情報共有を徹底しようと呼びかけた。フェイスブック(FB)グループをつくり、どこの避難所にどんな問題があって、どういう支援が必要かをリアルタイムで発信。それを見たメンバーは「ここにこれを持っていく」「あそこの作業を手伝いに行く」と自発的に行動を起こす。有機的な活動は網の目のように連動し、倉敷市真備町地区だけでなく、岡山市の被害地域へも支援を広げていった。

教訓を生かし今後に備える

 同ネットワークが開いた定例会議は計54回(2022年2月9日現在)。FBグループには197団体、1200人が登録。全国最大規模の災害支援ネットワークとして今後の災害対応に生かす活動を継続している。「知見や教訓を基に情報を整理して体系化」「企業からの支援物資を事前登録」「災害支援関連の専門用語を解説するウェブサイト『サイガイ(災害)ペディア』の運営」など。昨夏の佐賀、大分の水害では現地の支援活動に生かされた。
 「この規模で支援活動を継続している例は全国でもまれ。可能にしているのは、一人ひとりの“困った人のために何かしたい”という気持ちです。当時、すべての人や企業が快く支援に応じてくれました。必要がないときはもたれ合わないけれど、いざとなったら助け合う。岡山県人の合理主義の良い面じゃないですかね」と石原さんは話す。

岡山の人の団結の強さを感じた

 西日本豪雨の翌年4月に、高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所に赴任。多くのNPOやボランティアの方々が長期に渡って支援していること、被災した人も支援活動に加わっていることに驚きました。また、支援者が定期的に情報共有を実施し、地域が今まさに求めていることに対し、お互いを補完しながら支援を進めていく姿に、岡山の人の団結の強さを感じました。
 個人的には妻と乳幼児を連れての異動だったので不安も大きかったのですが、真備の人たちに温かく受け入れていただき、感謝ばかりの2年間でした。

国土交通省水管理・

国土保全局治水課

企画専門官

桝谷有吾さん

誰かの役に立ちたいという内に秘めた思いは共通

サンサポートオカヤマ
NPO法人ハレハハ代表
ボウズ満恵さん

 子育て中のママ友に声をかけてグループを作り、SNSで子育て家庭に必要な支援情報を共有。小さな活動だからこそ、行政が行き届かない人に寄り添う支援を心がけました。のちに姉妹団体として立ち上げたNPO法人「ハレハハ」では、子どもが育つ環境をテーマにさまざまな支援活動を行っています。困った人にどう声を掛けたらいいのか戸惑いがちだけれど、内に秘めた思いはみなそれぞれにあると感じます。

ライターとして支援情報発信サイトに参加

フリーライター
小林美希さん

 西日本豪雨災害のとき、岡山県全域の支援情報発信サイト「うったて」のライター募集を知り、文章を書くのが好きだったので参加。自宅で支援情報の入力作業を半年ぐらい続けました。私は大阪出身で、地域おこし協力隊として2017年に浅口市へ移住。岡山の人のほどよい距離感が心地よくて、協力隊の任期が終わった後も浅口市に住み続けています。
岡山たからもん
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