センターで研修内容を確認する岸さん

岡山NPOセンター地域連携センター
主任アドバイザー災害支援担当
岸 祐生さん(34歳 岡山市)

「つながり、助け合う地域を」

 2011年の東日本大震災の発生時、大学生だった。何かしたいと思っても実際にできたのは募金だけ。このことがずっと頭の片隅に残っていた。
 西日本豪雨が起きた18年夏は、前職を辞し仕事を探していた。NPO法人・岡山NPOセンターが岡山市の委託事業で、被災者の困り事や課題の把握調査のため、スタッフの募集をしていることを知った。被害に遭った同市東区平島地区は自宅から近くなじみもある。今度こそと迷わず応募した。
 2人1組になり、一軒一軒、被災地区を巡った。家主が高齢のため、遠方に住む娘や息子が片付けに来ていたり、独居の高齢者が避難せず在宅していたり…。各世帯の避難状況や困り事などを聞き取っていった。18年9月から約1カ月間、訪問件数は同センター全体で約1800件に上った。
 活動を通じ、高齢者はスマホを持っていても使いこなせず、必要な情報が届いていないと実感。義援金の受け取りなど支援を受ける際に必要な「罹災(りさい)証明書」の取得の仕方などをアドバイス。困った時に頼れる先になればと、留守宅には連絡先を記したチラシをポスティングした。
 年始に能登半島地震が発生し、近い将来、南海トラフ巨大地震も予測されている。万が一の対応へ大切なのは、平時の備え。現在、全国各地の災害現場へ派遣される同僚の後方支援をしながら、在宅避難者への聞き取り調査、支援物資の管理・調整といった研修の企画に携わる。「活動を通じてつながり、助け合う地域をつくっていきたい」

戸別訪問前に行われたオリエンテーション=2018年9月

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