川辺復興プロジェクト「あるく」
最年少メンバー
槙原 鈴華さん(16歳 倉敷市)
「子どもにもできる防災を伝えたい」
西日本豪雨で自宅が全壊。母の聡美さんは被災者でありながら倉敷市真備町川辺地区の炊き出しに走り回った。人のために頑張って行動する姿がかっこ良かった。「引っ込み思案な自分」が心苦しくなり、手伝いたいと思った。炊き出しの人数確認や食券配布、配膳など、11歳(当時)にできることを経験。まもなく聡美さんが地元の仲間たちと発足した「あるく」の最年少メンバーとしてかかわるようになる。
中学生になって人間関係に悩み、クラスに入れなくなって、別室登校した。「あるく」の交流事業や防災活動に参加するも、どこか自信なさげな鈴華さんに、災害支援の専門家たちが言葉をかけた。「すごくいい意見を言ってるよ」「大丈夫、ちゃんとできてるよ」。あこがれの大人に背中を押してもらった。「私にもできる」「私にしかできないことがある」と自信を持てるようになった。イベントの受付や司会など、できることはなんでもやる。人とかかわり、喜んでもらえる経験が自分を強くした。
高校に進学した昨年、防災士養成講座に参加。「子どもが来るところじゃない」と男性4人に言われ、小学6年生の女子が泣きそうになっている場面に遭遇した。大人からできないと決めつけられることが、子どもの未来をふさいでしまう。自分も過去に同じような経験をして悔しい思いをした。
思わず立ち上がって言った。「子どもも正しい知識を身につけたら大切な人を守れるんです」
その体験を、岡山県高校弁論大会で発表。1年生ながら優秀賞に選ばれた。子どももできるんだぞ!と、多くの大人に伝えたい。「やりたい」と思う人がやりたいことをできる場をつくっていきたい。「臆病だった自分がめちゃくちゃ進化してる感じがする」と笑う。
「あるく」が行った能登半島地震の募金活動で=2024年1月