活動の原点となった母校で展望を語る野口さん

中学1年で真備を元気にする活動
「MSB30」を始動
野口 貴生さん(18歳 倉敷市)

「マイナスをプラスに変えたい」

 中学1年で西日本豪雨を経験。自宅は水害を免れたが、楽しい中学生活を送るはずだった真備中学校は校舎の2階まで水没し、水が引いた後は校庭が災害ゴミの集積場に。やり場のない気持ちをかき消すように、避難所となった小学校に毎日通い、支援物資の運搬や炊き出しのボランティア活動を続けた。
 自宅では勉強する気になれず、小中学生の勉強の場になっていた公民館に足を運ぶうち、「真備町の子どもを元気にしたい」という気持ちが高まり、友達と「MSB30」という団体を始動。大人の力も借りながら秋祭りを開催し、子どもや大人のうれしそうな様子に、人のために動き、人に喜んでもらう達成感を味わった。
 その後、人気のお笑い芸人を招いてのクリスマスイベントや、子どもが楽しめる防災イベントなどを実施。楽しく防災を伝えることをモットーに活動を続けてきた。「今までやってきたことをもっと生かしたい、学びたい」と、今春から鳥取環境大学経営学部へ進む。
 「将来の希望もやりたいこともなかった僕が、西日本豪雨をきっかけに、進みたい道を見つけられました。被災によって中学生活はほとんどダメになってしまったけれど、つらい経験を糧に自分の気持ちを昇華させたいと考えて、マイナスをプラスに変えることができたんです。真備町は少子化とかさまざまな課題を抱えているけれど、マイナスをプラスに変えられるような貢献ができたら。そのために大学は経営学部を選びました」
 卒業後は真備に帰って地域振興に取り組みたい。だからこそ一度真備から離れ、遠くから見ることで、「なぜ真備なのか」の理由を、自分の中に具体的に見つけるつもりだ。

楽しく学べる防災啓発イベント「まびっこカエルキャラバン」=2023年1月

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